JALAの事業
JALAの事業について
昨年(2017年)、無痛分娩に関連した重大な有害事象事例が報道され、無痛分娩の安全性に対する懸念が社会的に注目を集めることとなりました。この課題への対策を検討する目的で、平成29年度厚生労働科学研究費補助金(厚生労働特別研究事業)「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究」(以下、「特別研究班」)が組織され、関係学会・団体から推薦を受けた研究協力者を含めた精力的な検討の結果、2018年3月29日、「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」(以下、「提言」)が発表されるに至っています。
「特別研究班」からの「提言」では、以下のような点を指摘しています。
無痛分娩取扱施設は、安全な無痛分娩を提供するために必要な診療体制を確保するよう努めること。
無痛分娩に関わる学会及び団体は、無痛分娩における安全な診療を目的として、無痛分娩に関わる医療スタッフが産科麻酔に関する知識や技術を維持し、最新の知識を更新するために必要な講習会を開催すること。
無痛分娩を希望する妊婦とその家族が、必要な情報に基づいて分娩施設を選択できるように、無痛分娩取扱施設は無痛分娩の診療体制に関する情報を分かりやすくウェブサイト等で公開すること。
日本産婦人科医会が実施している偶発事例報告事業及び妊産婦死亡報告事業等を活用し、無痛分娩取扱施設、関係学会・団体、専門家が参画して、無痛分娩に関連する有害事象の収集・分析並びに再発防止策の検討を行う体制を構築すること。
無痛分娩に関わる学会及び団体は、「無痛分娩に関するワーキンググループ(仮称)」を発足させ、無痛分娩の提供体制についての継続的な検討に参画し、相互に連携した活動を展開すること。
上記のような「提言」を受けて、無痛分娩に関わる学会及び団体(日本医師会、日本看護協会、日本産科婦人科学会、日本産科麻酔学会、日本産婦人科医会、日本麻酔科学会)で協議を重ねた結果、2018年7月6日に「わが国における安全な無痛分娩の提供体制を構築するために必要な施策等について継続的に検討し必要な情報を共有することを通じて、相互に協働し連携した活動を展開できる体制を整備し、安全で妊産婦の自己決定権を尊重した無痛分娩とその質の向上を実現すること」を目的とする「無痛分娩関係学会・団体連絡協議会」(The Japanese Association for Labor Analgesia: JALA)を発足させるに至りました。今後、私どもJALAは、「提言」の趣旨を実現するため、「無痛分娩取扱施設における診療体制の充実を通じた安全性の向上」、「無痛分娩を希望する妊婦が適切な分娩施設を選択可能となることを目的とした無痛分娩取扱施設の診療体制に関する情報公開の推進」、「無痛分娩に関わる医療スタッフを対象とした講習会開催の推進」、「無痛分娩に関連した有害事象に関する情報の収集・原因及び背景要因分析・再発防止策立案のための体制整備の推進」等の活動を行ってまいります。
実際の事業の展開におきましては、JALAサイトの開設と運営を行うとともに、当面「無痛分娩診療体制情報公開事業」「無痛分娩研修体制整備推進事業」「無痛分娩有害事象収集分析事業」の3つの事業を展開してまいります。
分娩取扱施設、特に無痛分娩取扱施設におかれましては、本協議会の今後の活動にご協力を賜りたく、何とぞ宜しくお願い申し上げます。