無痛分娩の安全性向上のため、無痛分娩関連有害事象の収集・検討評価を行い、再発防止策を提言します。
“事故に学べ”、再発防止・医療安全対策には、有害事象の収集・分析が重要で、しかも、それを医療界が共有することであります。また、研修体制の推進にも活用されます。地域医療、特に周産期救急医療体制整備にも活用されます。そこで、JALAの活動として、「無痛分娩有害事象収集分析事業」を立ち上げ、以下のような活動を行うことといたしました。無痛分娩取扱施設におかれましては、有害事象の報告に協力していただきたくお願い申し上げます。
1. 報告すべき有害事象を定める
高位脊髄くも膜下麻酔、局所麻酔薬中毒、その他(硬膜下血腫、硬膜外血腫、それ以外の神経障害、アナフィラキシー、全脊麻や麻酔薬中毒によらない低酸素脳症など)とする。
但し、妊産婦死亡は、日本産婦人科医会「妊産婦死亡報告事業」への報告で一本化する。
2. 有害事象の収集のための調査票を作成する
調査票には個人情報が多く含まれているので、個々の事例については公表しない
3. 有害事象調査票受付窓口をJALAに設置する。
4. 有害事象調査票の中に記載された個人情報を消去する
5. 有害事象検討評価委員会を設置する
提出された有害事象調査票(匿名化されたもの;妊産婦死亡事例を除く)は、JALA有害事象検討評価委員会に提出され、分析・検討され再発防止への提言を含む報告書を作成する。報告書はJALA構成団体にも送付される。
妊産婦死亡事例(匿名化すみ)は、JALAからの推薦委員と妊産婦死亡症例検討委員会との合同委員会で分析・検討され、再発防止への提言をまとめる。
6.報告書の送付
JALA有害事検討評価委員会で作成された報告書は、JALA窓口を通して当該医療機関に送付する。症例検討評価報告書はJALA構成団体にも送付される。
7.安全な無痛分娩実施のための提言を作成する
研修体制の推進に資するように無痛分娩研修体制分科会に資料を提供する。また、地域医療、特に周産期救急医療体制整備にも活用されるように、提言に盛り込む。