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【2020年7月13日更新】2020年前半の無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)の活動についてのご報告

2020年7月13日

JALAでは、平成29年度厚生労働科学特別研究事業「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究」による「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」で示された諸課題に対応するための活動を「情報公開」「研修体制整備」「有害事象の収集・分析・再発防止」という3つの活動を担当する分科会を中心として進めています。

前回は、2019年の活動内容についてご報告しました。今回は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の全世界的な流行のため、当初の予定とは大きく変更せざるを得なくなった2020年前半の活動状況についてご報告します。他のすべての分野と同様、社会情勢の激変に対応し、JALAの活動についてもwith コロナの時代に適応していく必要があります。JALAでは、2020年6月19日に総会を開催し、新たな活動方針を決定いたしましたので、それについてもご報告します。

  •  20年前半のJALA情報公開分科会の取組
  • JALAサイトにおける「情報公開に積極的に取り組んでいる無痛分娩取扱施設のリスト」への無痛分娩取り扱い施設の掲載状況について
    • 無痛分娩取扱施設が積極的に情報公開を進めることを促すことを目的とした「情報公開に積極的に取り組んでいる無痛分娩取扱施設のリスト」の掲載に力を注いできました。
    • この取組では、無痛分娩施設に対して、自施設の診療の内容について、できる限り詳しくわかりやすい情報を公開するようにお願いしています。その上で、一定の条件の情報公開が行われていることがJALAサイトの運営事務局で確認できた施設について、JALAサイトの「リスト」に掲載するようにしています。
    • 2019年12月末の時点で、336施設からこの取り組みへの参画の同意が得られ、このうちJALAサイトの施設データ登録システムへのアクセスは236施設が行い、さらにそのうち127施設がJALAサイト運営事務局に対して「リスト」への掲載の申請を行っていました。2019年末の時点で、一定の基準を満たし、「無痛分娩関係学会・団体連絡協議会」のウェブサイトの「リスト」に掲載されたのは91施設でした。
    • 2020年6月末の時点では、取り組み参画同意施設数は361施設、このうち施設データ登録システムへのアクセス施設は260施設、リスト掲載申請157施設、リスト掲載施設は113施設でした。(2施設が分娩取扱中止のためリスト掲載を辞退されています。また、42施設は、リスト掲載依頼があったものの、公開条件を満たさず公開保留状態となっています。)
    • COVID-19の大規模な流行は、分娩取扱施設に対して、非常に大きな影響を与えており、リスト掲載申請は2020年3月以降、鈍化している傾向があります。リスト掲載施設の増加のため、今後は、無痛分娩取扱施設へのJALAの側からの積極的な働きかけが必要と認識しています。
  • 市民公開講座について
    • 2019年3月に開催した第1回市民公開講座の動画配信を、(準備に時間がかかってしまいましたが)2020年1月に開始しました。
    • 第2回市民公開講座を2020年2月23日(日曜)に東京で開催する予定でしたが、COVID-19の影響で中止せざるをえませんでした。現在、JALAサイトを通じてのWEB配信の準備を進めています。準備ができ次第、お知らせいたします。

 

  • 2020年前半のJALA研修体制分科会の取組
  • 14回の「無痛分娩の安全な診療のための講習会」の開催中止について:「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」の「無痛分娩に係る医療スタッフの研修体制の整備に関する提言」では、無痛分娩に関わる医療スタッフが産科麻酔に関する知識や技術を維持し、最新の知識を更新するために必要な講習会として4つのカテゴリーの講習会の必要性が指摘されました。JALAでは各カテゴリーの講習会を、2019年度から本格的に開始しました。2020年に入り、開催地域を拡大して、多数の講習会を開催する予定となっていました。しかしCOVID-19の影響で、2020年2月3月に開催を予定していた以下の講習会をすべて中止せざるを得なくなりました。講習会を受講していただくことは、JALAの取り組みをご理解いただく非常に重要な機会と考えており、本当に残念なことでした。
    • 中止を余儀なくされた各カテゴリーの講習会:
      • カテゴリーA講習会
        • 第7回:2020年2月24日:横浜
        • 第8回:2020年2月29日:名古屋
        • 第9回:2020年3月1日:福岡
        • 第10回:2020年3月15日:広島
        • 第11回:2020年3月28日:浜松
      • カテゴリーB講習会(日本母体救命システム普及協議会主催)
        • 第20回 2020年2月24日:横浜
        • 第21回 2020年2月29日:名古屋
        • 第22回 2020年3月1日:福岡
        • 第23回 2020年3月15日:広島
        • 第24回 2020年3月28日:浜松
      • カテゴリーD講習会
        • 第2回 2020年2月23日:東京:定員100名
        • 第3回 2020年2月24日:横浜:定員100名
        • 第4回 2020年3月15日:広島:定員250名
        • 第5回 2020年3月20日:新潟:定員100名
  • JALA講習会へのe-learning導入の取組: COVID-19の感染拡大については、ワクチンが開発され普及するまで、当分の間は、第二波、第三波への対応を想定する必要があり、医療従事者に多数集まっていただく形の講習会を継続的に安定して開催することは非常に難しいと考えられます。そこでJALAでは、2020年度にカテゴリーA講習会及びカテゴリーD講習会について、e-learningを導入することに決定し、そのための体制整備を進めています。2020年秋には開始する予定としております。受講可能となり次第、JALAサイトを通じてお知らせいたします。

【参考】各カテゴリーの講習会の内容

  • カテゴリーA:「安全な産科麻酔の実施と安全管理に関する最新の知識の修得及び技術の向上のための講習会」
    1. 無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)による開催
    2. 60分間の講義。2部構成。第1部は無痛分娩の安全体制の構築に関する提言に関する講義、第2部は硬膜外麻酔の神経学的合併症に関する麻酔科学的講義
    3. 受講対象:無痛分娩管理者、麻酔担当医(産婦人科専門医)
  • カテゴリーB:「産科麻酔に関連した病態への対応のための講習会」
    1. 日本母体救命システム普及協議会(J-CIMELS)による「硬膜外鎮痛急変対応コース」を相当コースと認定
    2. 3時間30分のシミュレーションを含んだ講習会
    3. 受講対象:無痛分娩管理者、麻酔担当医(主に産婦人科)
  • カテゴリーC:「救急蘇生コース」
    1. 日本母体救命システム普及協議会によるJ-MELSベーシックコース、ピーシーキューブ運営協議会によるPC3、日本ACLS協会によるACLS、日本救急医学会によるICLSを相当コースと認定
    2. 麻酔科専門医はACLS資格を有しているが、母体急変時の対応を学ぶことのできるコースの受講を推奨
    3. 受講対象:麻酔担当医
  • カテゴリーD:「安全な産科麻酔実施のための最新の知識を修得し、ケアの向上をはかるための講習会」
    1. 無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)による開催
    2. 90分間の講義
    3. 受講対象:無痛分娩研修修了助産師・看護師を目指す助産師・看護師
  • 2020年前半のJALA有害事象分科会の取組:
  • 倫理委員会における倫理審査:無痛分娩関連有害事象の収集事業は、患者さまの個人情報を取り扱う可能性があるため、本格実施にあたっては倫理委員会による審査・承認が必要になります。JALAでは2019年11月に、「無痛分娩関係学会・団体連絡協議会 有害事象収集および分析事業~より安全な無痛分娩の提供体制構築のための無痛分娩取扱施設を対象とした有害事象全国アンケート調査研究」という課題について三重大学の倫理委員会に倫理審査を申請し、審査をしていただきました。その結果、2020年6月4日付で承認通知を受領しています。引き続き事務局としてこの事業を担当することになる日本産婦人科医会の倫理委員会への審査を申請し、それについても2020年6月19日に承認を得ています。現在、倫理審査申請事項に一部修正の必要が生じており、修正後の再申請・承認の手続を経て、本格的に事業を開始する予定となっています。

2020年6月19日 JALA第8回総会の決定事項から

  • JALA主催講習会へのe-learningの導入:「with コロナ」の時代に対応し、無痛分娩の安全性向上のための講習会を安定して継続的に開催できる体制を整備する必要があることから、JALA主催講習会のうち、e-learningで実施可能なものについては、e-learningでも開催できる体制を今年度に構築する。当面、カテゴリーA講習会とカテゴリーD講習会について」WEB講習会の開催を進める。
  • JALA主催講習会管理システムの導入:今後、JALAで主催する講習会については新たに開発する講習会管理・受講管理のためのシステムを用いて管理運営を行う。
    • 講習会管理システムは、実講習会にもWEB講習会にも対応し、講習会の設定、講習会受講受付、クレジットカード等を用いた受講料支払い、講習会資料の発行、到達度テストの実施と判定及びアンケートの実施、修了証の発行等の機能を有するようにする。
    • 受講管理システムは、受講者が自身で管理できるマイページ機能を有し、受講歴管理ができるだけでなく、JALAサイトの施設データ登録システムにおける、無痛分娩麻酔管理者及び麻酔担当医の受講歴の項目との連携機能を有するようにする。
  • 麻酔科専門医の無痛分娩への関与を促進することを目的としたJALA講習会受講要件の変更:表を参照してください。
    • 麻酔科専門医は、蘇生法については訓練を積んでいるので、カテゴリーC(蘇生法講習会)講習については、定期的受講を求めず、相当するコースの受講歴があれば可とする。
    • 麻酔科専門医を対象とするカテゴリーB講習会を開発し、その開催を進める。(e-learning化が可能であれば、導入を検討する。)
  • JALAサイトの「情報公開に積極的に取り組んでいる無痛分娩取扱施設のリスト」掲載施設の情報の追加:「リスト」掲載施設の情報に麻酔科標榜医資格を有する医師数を追加する。その際、一般にはなじみのない「麻酔科標榜医」という資格についての解説記事をJALAサイトに掲載して、理解を助けるようにする。

 

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