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【2020年1月15日更新】2019年の無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)の活動についてのご報告

2020年1月15日

2019年の無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)の活動についてのご報告

 JALAでは、平成29年度厚生労働科学特別研究事業「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究」による「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」で示された諸課題に対応するための活動を「情報公開」「研修体制整備」「有害事象の収集・分析・再発防止」という3つの活動を担当する分科会を中心として進めています。以下に2019年の活動状況についてご報告いたします。

・2019年のJALA情報公開分科会の取組

【JALAサイトの開設】

  • 無痛分娩取扱施設の安全体制を中心とする診療情報を一般の方に提供することを目的としたウェブサイト(https://www.jalasite.org/)を2019年3月に開設しました。このサイトでは以下のような取り組みを進めています。
    • 「情報公開に積極的に取り組んでいる無痛分娩取扱施設のリスト」の掲載
    • 無痛分娩に関する一般の方向けの公開セミナーや市民公開講座等についての情報の掲載
    • 無痛分娩についての一般的な情報、無痛分娩実施施設からの情報だけではわかりにくいかもしれないこと、妊産婦さんや一般の方が感じておられる疑問にお答えできるような記事の掲載
  • 「情報公開に積極的に取り組んでいる無痛分娩取扱施設のリスト」について
    • 2019年はこのサイトの取り組みの中でも、無痛分娩取扱施設が積極的に情報公開を進めることを促すことを目的とした「情報公開に積極的に取り組んでいる無痛分娩取扱施設のリスト」の掲載に力を注ぎました。
    • この取組では、無痛分娩施設に対して、自施設の診療の内容について、できる限り詳しくわかりやすい情報を公開するようにお願いしています。その上で、一定の条件の情報公開が行われていることがJALAサイトの運営事務局で確認できた施設について、JALAサイトの「リスト」に掲載するようにしています。
    • 2019年2月の時点で、全国の全ての分娩取扱施設に対してこのような方法による無痛分娩に関する情報公開の取組への参画をお願いしました。その結果、これまでに(2019年12月現在)、336施設から参画への同意が得られました。(わが国で無痛分娩を取り扱っている施設は400施設強と考えられています。)JALAサイトの施設データ登録システムへのアクセスは236施設が行い、このうち127施設がJALAサイト運営事務局に対して「リスト」への掲載の申請を行っています。2019年末の時点で、一定の基準を満たした91施設が「無痛分娩関係学会・団体連絡協議会」のウェブサイトの「リスト」に掲載されました。
    • 現時点では、「リスト」に公開されている施設は限定されていますが、未公開の施設でも自施設のサイトからの情報提供の体制の整備を進めていただいており、JALAとしても今後、リスト掲載施設の増加に努めて参ります。

【市民公開講座の開催等】

  • 2019年3月に開催した第1回市民公開講座の動画配信を、(準備に時間がかかってしまいましたが)2020年1月に開始しました。
  • また、第2回市民公開講座を2020年2月23日(日曜)午後2時45分より東京で開催する予定で、現在その準備を進めています。市民公開講座では、無痛分娩とその安全性向上のための活動について理解を深めていただくための講演、意見交換の場を設ける予定です。

 

・2019年のJALA研修体制分科会の取組

【「無痛分娩の安全な診療のための講習会」の開催】

  1. 「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」の「無痛分娩に係る医療スタッフの研修体制の整備に関する提言」では、無痛分娩に関わる医療スタッフが産科麻酔に関する知識や技術を維持し、最新の知識を更新するために必要な講習会として4つのカテゴリーの講習会の必要性が指摘されました。JALAでは各カテゴリーの講習会の具体的な内容を2019年3月に決定し、2019年度から本格的に開始しました。2020年には開催回数が増え開催地域も拡大する予定となっています。この流れは2020年度以降も継続する予定です。

 

  1. 各カテゴリーの講習会の内容
    • カテゴリーA:「安全な産科麻酔の実施と安全管理に関する最新の知識の修得及び技術の向上のための講習会」
      1. 無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)による開催
      2. 60分間の講義。2部構成。第1部は無痛分娩の安全体制の構築に関する提言に関する講義、第2部は硬膜外麻酔の神経学的合併症に関する麻酔科学的講義
      3. 受講対象:無痛分娩管理者、麻酔担当医(産婦人科専門医)
    • カテゴリーB:「産科麻酔に関連した病態への対応のための講習会」
      1. 日本母体救命システム普及協議会(J-CIMELS)による「硬膜外鎮痛急変対応コース」を相当コースと認定
      2. 3時間30分のシミュレーションを含んだ講習会
      3. 受講対象:無痛分娩管理者、麻酔担当医(主に産婦人科)
    • カテゴリーC:「救急蘇生コース」
      1. 日本母体救命システム普及協議会によるJ-MELSベーシックコース、ピーシーキューブ運営協議会によるPC3、日本ACLS協会によるACLS、日本救急医学会によるICLSを相当コースと認定
      2. 麻酔科専門医はACLS資格を有しているが、母体急変時の対応を学ぶことのできるコースの受講を推奨
      3. 受講対象:麻酔担当医
    • カテゴリーD:「安全な産科麻酔実施のための最新の知識を修得し、ケアの向上をはかるための講習会」
      1. 無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)による開催
      2. 90分間の講義
      3. 受講対象:無痛分娩研修修了助産師・看護師を目指す助産師・看護師

 

  1. 各カテゴリーの講習会の開催状況:カテゴリーC「救急蘇生コース」は各団体により多くの講習会が開催されていますので、適宜受講していただくようにお願いしています。それ以外のカテゴリーの講習会は、無痛分娩の安全性向上のために開始されたものであり、その開催状況は以下のようになっています。
    • カテゴリーA講習会
      • 第1回:2019年5月26日 仙台:受講者16名
      • 第2回:2019年7月6日 大阪:受講者39名
      • 第3回:2019年9月23日 鹿児島:受講者17名
      • 第4回:2019年10月13日 東京:台風のため中止
      • 第5回:2019年10月14日 大阪:受講者16名
      • 第6回:2019年11月23日 東京:受講者154名
      • 第7回:2020年2月24日(予定):横浜
      • 第8回:2020年2月29日(予定):名古屋
      • 第9回:2020年3月1日(予定):福岡
      • 第10回:2020年3月15日(予定):広島
      • 第11回:2020年3月28日(予定):浜松

 

  • カテゴリーB講習会(第7回までは日本産婦人科医会主催、以後は日本母体救命システム普及協議会主催)
    • 2018年 6回(仙台・東京・大阪・京都で開催) 受講者合計78名
    • 第7回 2019年1月6日 東京:受講者18名
    • 第8回 2019年1月26日 東京:受講者6名
    • 第9回 2019年3月2日 大阪:受講者12名
    • 第10回 2019年3月3日午前 大阪:受講者12名
    • 第11回 2019年3月3日午後 大阪:受講者30名
    • 第12回 2019年4月14日午前 名古屋:受講者18名
    • 第13回 2019年4月14日午後 名古屋:受講者18名
    • 第14回 2019年5月26日 仙台:受講者12名
    • 第15回 2019年7月6日 大阪:受講者18名
    • 第16回 2019年9月23日 鹿児島:受講者11名
    • 第17回 2019年10月13日 東京:台風のため中止
    • 第18回 2019年10月14日 大阪:受講者16名
    • 第19回 2019年11月23日 東京:受講者12名
    • 第20回 2020年2月24日(予定) 横浜
    • 第21回 2020年2月29日(予定) 名古屋
    • 第22回 2020年3月1日(予定) 福岡
    • 第23回 2020年3月15日(予定) 広島
  • 第24回 2020年3月28日(予定) 浜松

 

  • カテゴリーD講習会
    • 第1回 2019年11月24日 東京:受講者189名
    • 第2回 2020年2月23日(予定) 東京:定員100名
    • 第3回 2020年2月24日(予定) 横浜:定員100名
    • 第4回 2020年3月15日(予定) 広島:定員250名
    • 第5回 2020年3月20日(予定) 新潟:定員100名

 

・2019年のJALA有害事象分科会の取組:

【モデル有害事象分科会の開催】

  • 2019年5月にモデル有害事象検討会を開催し、無痛分娩に関連した有害事象の収集・分析について基本方針を決定しました。

【倫理委員会における倫理審査】

  • 無痛分娩関連有害事象の収集事業は、患者さまの個人情報を取り扱う可能性があるため、本格実施にあたっては倫理委員会による審査・承認が必要になります。現在、三重大学の倫理委員会に倫理審査を申請し、審査の結果を待っているところです。審査が終了し、承認が得られ次第、無痛分娩関連有害事象の収集事業を開始する予定です。

 

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