麻酔科医・麻酔科に関する資格
- 麻酔科医についての資格は日本麻酔科学会と日本専門医機構が認定する資格があります。医療施設が麻酔科を標榜する資格として厚生労働省が認定する「麻酔科標榜医」があります。
- 1960年に厚生労働省が認可する麻酔科標榜医制度が始まりました。1963年に日本麻酔科学会は標榜医を指導・認定するための「指導医」の認定を開始し、現在は「認定医」→「専門医」→「指導医」と上位になっていく資格を制定しています。2019年から「専門医」は国の方針で日本専門医機構が認定するようになり、移行期の2034年3月までほぼ同様の内容ですが認定機関が異なる2つの「専門医」が併存します。
- 各資格の説明
- 麻酔科標榜医 認定機関:厚生労働省
- 医療法に基づき、厚生労働大臣の許可を受けた医師で、麻酔科を標榜(看板を掲げる)する際に必要な資格。「標榜医」という資格は他の診療科には存在せず麻酔科だけの制度となっています。
- 医師免許を取得後、麻酔の実施に関する十分な修練を行うことのできる病院または診療所において2年以上修練した場合、あるいは、麻酔の実施を主に担当する医師として気管への挿管による全身麻酔を300症例以上実施した経験を有していることが必要です。
- 更新制度はありません。
- 日本麻酔科学会 麻酔科認定医 認定機関:日本麻酔科学会
- 日本麻酔科学会が定める所定の審査に合格し、麻酔科臨床に関する相当の知識と経験を有することを認定した医師を指します。学会正会員で、手術における麻酔管理に関する研修を認定病院で医師免許取得後24ヶ月以上受けており、厚生労働省認定の麻酔科標榜医資格を有する者が認定される資格です。
- 有効期間は5年間で、更新制度があります。
- 日本麻酔科学会 麻酔科専門医 認定機関:日本麻酔科学会
- 学会が行う筆記試験・口頭試問・実技審査に合格し、麻酔科関連の臨床、研究に関する十分な知識と技量を有することを認定された麻酔科関連業務に専従する医師を指します。
- 有効期間は5年間で、更新制度があります。
- 日本専門医機構の麻酔科専門医に制度移行が行われたため2023年度をもって認定終了となり、現在は更新のみ行われています。
- 日本専門医機構 麻酔科専門医 認定機関:日本専門医機構
- 医師臨床研修終了後、申請する年の3月31日までに満4年以上の機構が定める所定の研修プログラムのもとで週3日以上麻酔科関連業務に従事のうえ、所定の経験症例数(麻酔科管理症例600例以上(局所麻酔を含む)等)を満たして、研修を修了し、書類審査と受験審査の合格を以って認定されます。
- 有効期間は5年間で、更新制度があります。
- 更新には、機構専門医取得後、引き続き単一施設で週3日以上麻酔科関連業務に継続して従事していること、そして診療実績及び学会出席等の研修実績があることが必要です。
- 日本麻酔科学会 麻酔科指導医 認定機関:日本麻酔科学会
- 学会専門医あるいは機構専門医を1回以上更新した経験がある学会正会員が目指す資格です。原則として指導症例数500例以上及び研修実績が規定を満たすことが必要です。それ以外に学術集会参加実績、学会発表、査読の実績等の条件を満たす場合も申請できます。また、学会の名誉会員,施設長(大学学長,医学部長,病院長)またはこれに準ずる職責にある会員は申請可能とされています。
- 有効期間は5年間で、更新制度があります。
【麻酔科医・麻酔科に関する資格一覧】
| 資格名 | 認定機関 | 取得要件(主な条件) | 有効期間 | 更新条件 |
| 麻酔科標榜医 | 厚生労働省 | 医師免許取得後、2年以上の研修 または 全身麻酔300例 | なし(更新不要) | なし |
| 日本麻酔科学会 認定医 | 日本麻酔科学会 | 標榜医資格 + 24か月以上の研修 | 5年(更新あり) | 学会参加等による単位取得 |
| 日本麻酔科学会 専門医 | 日本麻酔科学会 | 筆記・口頭・実技試験合格 + 臨床・研究経験(新規認定終了) | 5年(更新のみ) | 学会の基準に基づく更新 |
| 日本専門医機構 専門医 | 日本専門医機構 | 初期研修後、4年以上の専門研修 + 麻酔600例 + 週3日以上従事 | 5年(更新あり) | 継続従事 + 診療実績 + 研修実績 |
| 日本麻酔科学会 認定指導医 | 日本麻酔科学会 | 専門医1回以上更新 + 指導症例500例 + 学会参加など | 5年(更新あり) | 学会参加・発表・査読など |
